中心の若者からの応募に、びびる
ここに来て国内の応募が増えてきた。
とは言え、面白いと思えるものばかりではない。メンバーを十分に集めるには、多少時間が掛かるのかもしれない。
まぁ、私が面白いと思ったところで売れるかどうかはわからないのだから、面白いかどうかはあまり関係がない。
大事なのは同じ方向を向けるか。そして、ギャラリーの色味くらいは合っている必要がある。
そんな中、「中心の若者は飢えていない。」のエントリーを見てか見ずか、中心の若者から応募があった。
その途端、多少責任感のようなものが湧いたが、わたしのギャラリーのデメリットもメリットも伝えてある。
あとは本人の意思次第で、決めたからには自分の責任と言う事だ。責任を取れるほどのギャラリーではない。
作品は世代観が出ていて面白かった。
ギャラリーは、ちゃんと運営しようとすればするほど、管理の問題が出てくる。
作品はちゃんとトレースできるように、あまり変な、転売屋のようなお客には売らないようにする。
セカンダリー価格が安定しないうちは、オークションに流れる作品にも注意を払う。
所有者が亡くなったりなどで、作品が不要になった場合には、作品の紛失や、オークションへの無駄な流出を防ぐため買い戻す。
これらの理由から、ちゃんとしたギャラリー程、販売実績の無い若い作家を扱いたがるし、あらゆる場所でそれなりの場所でそれなりの数を売っている作家は、後々の事を考えると扱う事を躊躇するようだ。
彼は若く、中心にいるので、チャンスはまだあるかもしれない。
わたしのギャラリーで扱われた事が、いずれ不利益を生むかもしれない。それを踏まえて、考えてもらっている。
どうやら、前向きに考えているようだが。
それ以外は、やはり地方から、40を過ぎた世代からの応募が多い。
彼らにとっては背水の陣だろう。チャンスも少ない。精一杯制作と活動をする時間もタイムリミットが迫っている。
いい作家がいれば、もちろん扱いたいと思うが、世代の問題か、この世代はステートメントが掛けない。
再送を依頼すると「言葉で言えていたら、作品は造っていない」と、お叱りを受ける事もあり、どこかで聞いた言葉だなと、懐かしくなる。
どこで聞いた言葉かは、言わずもがな。
結局のところ、作品などは見てもわからない。わたしが作品で判断するのは直感と色味とステートメントだ。
再送願いを出すと、苦労して自分の言葉で伝えようとしてくるものもいる。とても好感が持てる。
言葉と言うのは、綺麗に書くでも、難しい言葉を駆使するでもない。相手に届き、相手の何かを動かすためのものである。
わたしのBlogやメールも、無駄に長く、構成も読みにくいので申し訳ないが、呼んだ人、メールの受取人に、何か変化が起きて、行動に移せればいいなという思いでは、書いている。
応募の際も、要項には無い無駄な事を書いてくるものの方が心を動かされる事が多い。
一見無駄に思えるものの中に、実は大切なものがあると言うのは、人生を終えようとしている人が、自分の人生を振り返った時に脳裏に写るシーンを聞くと、やはりそうなのかもしれない。
作品も、綺麗である必要はない。うまい必要も無いのかもしれない。無駄な要素があってもいいだろう。
問題は見る人を動かせるかどうかだ。
いや、そう言ってしまうと矛盾を抱える事になる。
やはり作品は良くわからない。ある一つの作品を目にして、観たもののコンセンサスを得るような感想が出るほどには、アートと言うのは共通言語にはなっていないと言うのが、わたしの意見だ。
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