アートバーゼルは別格
アートバーゼルはみなさんご存知だと思うが、これが行ってみてたまげた。
色々と噂には聞いていたが、ここまで来ると国の威信が掛かってるのだろうと想像する。
まず驚いたのが、これは2011年の事だが、アートバーゼルに行こうと思い立ったのが会期の半年前だったのだが、その時点でバーゼル市内のホテルが空いていない。
元々、バーゼルは観光都市ではないから、ホテルの数も多くは無いのかも知れないが、アートバーゼルの会場では世界の時計の見本市なども行われているし、定期的に世界の人々がやって来る街なんじゃないかとは思うが、とにかくホテルが無いのだ。
結局、1泊8万のホテルに泊まったが、きっと普段はそんなにしないだろう。どこのホテルも恐らくアートバーゼル会期中は値段が上がる。
アートバーゼルが世界のアートフェアの中で成功している要因の一つは立地なのだろう。ユーロエアポートからバスで来れる。
と言う事は、ドイツとフランスからは車で来れる。
ちなみに、バーゼル市民はソーセージを買いにドイツへ、パンを買いにフランスへ。と言うほどドイツとフランスへのアクセスが容易だ。
国境は車で、ノーチェックだ。
どうやら中東の大金持ちなどは、自家用ジェットをユーロエアポートに着けて、アートバーゼルで美術品を爆買いすると言う噂も聞く。
そして、バーゼルの駅前はアートバーゼルで盛り上がっていた。
この時期、バーゼルはアートバーゼル一色といったところだ。
そして会場が巨大である。
私は3日間通ったが、それでもじっくりと見れてはいない。
後に、香港バーゼルにも行ってみたが、同じバーゼルと言っても全く別物だと感じた。
香港バーゼルはカメラの持ち込みも可能で、ほとんど作品の撮影会のようになっていたが、アートバーゼルはハンドバックサイズ以上のバックは預ける必要がある。
カメラももちろん持ち込み禁止で預ける。会場内で作品の写真を撮ってる人は無い。
そして、私のようないかにも観光客のような、芋臭いお客は、どこのギャラリーも相手にはしない。
ScopeやVoltaは、親近感溢れる対応をしてくれるが、バーゼルはお客を選んでいる。
私などがギャラリーブースに立ち入っても、まずスタッフは誰もやって来ない。
しかし、一見して貴族の末裔とわかるような、日本にいたらコスプレかと思うような、細い三つ編みを腰まで伸ばした騎士のような人がブースに入ってくると、スタッフがスッと立ち上がって、後ろの左右にピタッと貼りつく。
値段などは掲示してないので、一体いくらの作品なのかもわからないが、参加費だけで300万ほどのフェアだから、相当な値段に決まってる。
雑誌でしか見たことの無い作品が生で見れて、それには感動はしても、一体全体何が良いのかわからない作品も沢山ある。
売れたものは直ぐに下げられて、代わりの作品が掛けられるので、作品の脇に赤シールが貼ってあるようなものも見かけない。
どれだけ売れてるのかも想像できないが、スタッフを見渡す限り、忙しそうなところも多かった。
もちろん、会場のメインの位置にある作品はサイズも名前も凄いし、ギャラリーのメインの作品もサイズも作家も一流が多かったが、片隅のギャラリーのブースの、更に片隅になら、自分の作品があっても、別におかしくは無い・・・・そう思ったのは確かだ。
それ以外のサテライトにもちょっと触れておく。
Voltaはこのとき7だったか。ちょうどカイカイキキがメインを務めた時で、会場入っていきなり大きな壁一面がカイカイキキだった。
それ以外のギャラリーは、カイカイキキの壁の奥に展開されている感じ。
カイカイキキのブースも覗いて、若い作家の作品も展示されていたが、そこにはお客が沢山いた。
ちょっと様子を見ていて気が付いたが、カイカイキキの作家でVOLTAに展示している割には、価格が安いのに驚いた。村上隆は日本でドメスティックに活動してる若い作家は価格が根拠も無いのに高いと、何かで言っていた記憶があるが、確かにそうなのかもしれない。世界の適正価格について考えさせられた。
基本的にVOLTAは個展形式なので、他のギャラリーは確か個展形式だったと思う。
コンセプトなどはハッキリしていて、見るには面白いが、コレクションするつもりで見ていると、日本家屋には置けないサイズのものが多くて、美術館を見ているような感じだった。
とは言え、実のところはアートバーゼルで時間が取られて、VOLTAとSCOPEは半日で回ったので、ゆっくり見れていない。
そしてSCOPE。
こちらは時間が全く無くて、30分ほどしか見れてない。
帰国した後で、SCOPEも参加するのが難しく、大きなフェアである事を知ったのだが、それを聞いて驚くぐらい、最後の方は閑散としていた。
アートバーゼルに比べると庶民的な作品が多かった印象で、クオリティが高くてあまりサイズも大きくないものが目立った。
金額はそれなりにしたのかも知れないが、ゆっくり見るには楽しそうだ。
とにかく30分だから、見たうちには入らない。
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