逃げて、逃げはて、端っこに。
Escape on the edge
BandH Galleryのテーマのようなものだ。
正確にはEscape to the edgeなのかも知れない。と、思うほどには英語が苦手だ。
しかし、思いがあれば何とかなるようで、海外フェアでも身振り手振りで対応した。まぁ、最後の最後は通訳を呼ぶのだが。
海外での展示も、全てWEBツールを駆使して、何とか展示から販売、支払まで完了している。
辺境からしか革新は来ない。
これは常に時代が証明し続けているが、BandH Galleryは、辺境なのは間違いないが、はじめから革新を狙えるほど優秀なものではない。
多くのものは、中心を目指していく。
目指す場所が大きいほど、より中心に向かっていく。
私も中心を目指してはいる。
中心を目指して、そこは、何かに例えれば山のようなもので、進めば進むほど勾配もきつくなり、歩みも遅くなり、足も重くなる。
あらゆる方向から頂上を目指して人はやって来るが、どこから来てもそうは変わらない。キツイ。
それでも登ってしまう人間は居る。こういうのを天才というのだろう。
自分が天才かどうかは、二十歳も超えれば、わかるはずだ。
しかし天才でなくとも、諦めなければ、足を止めなければ、いずれ頂上にたどり着く。絶対にたどり着く。
ただ、だいたいはその前に命が尽きる。凍死か、雪崩か、遭難か、クレパスに落ちるか、そうでなくても山で天寿を全うする事もあるだろう。
自分はどこまで行けるのだろうか。山を下りたくなる時もある。逃げたくなる時もある。
山頂を目指して、山頂からだけの景色を夢見て、登り続けるのもいいだろう。
生身の身体は一つだから、実際の山登りなら上がるか下りるかだが、人間としては、作家としては、色んな眺めを見たほうがいい。
BandH Galleryは、山を下りた作家が集うギャラリーだ。
登り続ける作家の背中を押すほどの力も、余裕も無い。
かといって、山頂を目指しもしなかった作家が来る場所でもない。
なぜなら、山頂を目指した作家は、目指さない作家よりは、眺めの良さそうな岬を知っている。眺めのいい辺境の地を知っている。
たまには中心を目指す山登りから下りて、途中で見つけた眺めの良さそうな辺境の岬を目指すのもいいかも知れない。
もしかしたら、そこは山頂に負けず劣らずのいい眺めかも知れないのだ。
山頂からの眺めを超えるものが見れたとすれば、それは革新の地だ。
もちろん、思ったほどの眺めではない事もあるだろうが、それは、山頂も同じだ。
本来人間は自由だ。
縛られる事はない。囚われる事はない。どちらも目指せばいいのだ。
多様性を持つと言う事と、一貫性が無い事を同一視しているものが多いように見えるが、多様性と一貫性は、両輪でないと進化の過程も生き残れないのは、歴史が証明している。
逃げて、逃げはて、辺境の地の、革新の地の端っこに立つ。
だから、Escape ON the edge にしたのだ。
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