BandH Gallery

Escape on the Edge

需要と供給が合わない

これはハンスアビングも言っている事だから、日本に限った話ではないのだろう。
どんな分野でも売れてるモノは売れている。売れないものは売れない。
「世間が放っておくはずが無い」というのは、インターネットの時代になって少しは信憑性がでたような事柄も発生しているが、基本的に売れるものは売れる場所で売れる人に見せて売ろうとしなければ売れない。

プロのアーティスト、というものの基準は難しいが、アーティストを何段階かに分けてみよう。
・食えてる作家
・企画ギャラリーに取り扱い、或いは所属
・貸し画廊やコンペなどで定期的に発表
・展示即売関連のイベントに参加
・制作のみで発表はしない

以前、村上隆氏がどこかで言っていたプロの基準は、企画ギャラリーで取り扱い以上だったと記憶しているから、これを仮にプロの基準としてみよう。私自身を振り返っても、ここがとりあえずの目標だった。しかし、企画ギャラリーと言っても色々だと、いずれわかる。
そうなると、以前ならG7と言われていたような、有力な顧客とも多く繋がり、一流のアートフェアなどへの出展も果たしているギャラリーに取り扱われるのが良いと言う事になるが・・・・G7はGallery7で7つだ。狙って行けるものではない。

年間芸術系卒業生が16000人居る。これには音楽系なども含まれるが、それでも数千、或いは万単位の人間が毎年輩出される。
7つではどうしようもない。企画ギャラリー全体を見ても都内に30~50軒くらいだろう。
企画ギャラリーも色々だと言ったが、ホントに色々だ。
もちろん、取り扱い作家の作品を売って成り立っているところもいくつかあるのかもしれない。
が、ほとんどはセカンダリー(中古市場)で成り立っているか、どうにかしたらお金持ちの奥さんが税金対策で趣味のギャラリーを善意でやっていたりもして、こういうところは人は良いが売れない。
だが、ほとんどの作家はどこでもいい。企画ギャラリーに取り扱われたら満足してしまう。
それより上に行こうとしないのか、できないのかはわからないが、とにかく動かない。いや、動けないのかもしれないが。

とは言え、所属できなければ貸し画廊などで、手弁当で作品を発表するしかない。
逆を言えば、企画ギャラリーに入ってしまえばタダで展示の機会を得られるというだけで、安心してしまうのかも知れない。
ここで出てきた貸し画廊は、企画画廊よりも厄介だ。色々過ぎる。
私も企画ギャラリー以前は貸し画廊を借りた事がある。
最高は完売だったが、それ以外は坊主だ。
完売しても坊主でも、貸しギャラリーでも企画でも、それなりのところに行けない限りは、1日に10組来るか来ないかだ。
貸しの場合なら15万~25万程で1週間借りるだろうが、1日2万~3万払って、来る客が10組。
1組の客に2,000円~3,000円支払って、作品を見て“頂く”という事だ。

話は変わるが、日本の場合マーケットの大半はデパートだ。
そしてデパートで売れるアートはコンテンポラリーではない。草間くらいだろう、売れるのは。
となると、特にコンテンポラリーは日本で売る事が難しい。

フリーで活動して、切り開く作家もいるのだろうが、これには作品以外の能力が多く必要だ。
特に日本の作家は商売気がなく、セールスも上手くない。でも売れたいと思ってるから厄介だ。
そうなると、マーケットの入り口に立つためにも、ギャラリーに所属したいと考える。
ギャラリーの冠が無ければできない事がある。アートフェアへの参加だ。
アートフェアも色々だが、基本的にはギャラリー単位で出展する見本市だ。
その地域のアートファンやコレクターなどが多くやって来る。

私の実感としてはギャラリーというのは窓口である。
キャリアのはじめの頃はギャラリーと言う空間に多くの期待があったが、今は無い。
自分の作品を客観的に見る機会、くらいに思っている。
その先で大事なのは、ギャラリーの空間でも無ければ、資本金でもない。もちろん立地条件でもない。
ギャラリーの色と自分の作品の色がマッチしている事と、ギャラリーがどういう動きをしているかが問題だ。
アートフェアにも出ずに、デパートの催事などもせず、顧客も大して付いて無いギャラリーは意味が無いが結構ある。
これからギャラリーを探そうと言う作家はこの辺に注意して当たってみて欲しい。

BandH Galleryの敷居はとてつもなく低く設定した。もちろん、今はメンバーが居ないからで、いずれはわからないが。
活動暦が欲しい。自分の作品を客観的に見てみたい。そんな理由なら数十万も払う必要は無い。是非、私のGalleryを使って欲しい。持ち込み、売り込み、是非して欲しい。
ただし、作品は選ぶ。人も選ぶ。
もしかしたら、体制が整えば、手ごろなアートフェアなどから出て見るのも面白いと考えている。
その時の事を今から考えれば、当然だ。

ギャラリーとしての色と、共に歩める作家でなければやる気も起きない。

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